ジベレリン処理

最近では種のないぶどうが人気です。

しかし、本来果物には種があることが自然です。

ぶどうの場合、食べやすくするために種を抜くためにジベレリン処理を行っています。

そこで、ジベレリン処理について紹介したいと思います。

ジベレリン処理による種無しぶどうの栽培

最近人気のぶどうには種がありません。

利用者からすると種がなくて食べやすいメリットとなっています。

しかし、自然に種が無くなることはありません。

なぜなら種なしぶどうにするために、ジベレリン処理を行っているためです。

ぶどうも植物ですから、子孫を残すために本来は種を持っているわけです。

しかし、人間が種は必要ないという商品品質の考えから、ジベレリン処理を行い種を抜いてしまうわけです。

ですから、本来のぶどうというものは種ありのぶどう、人工的なぶどうは種無しのぶどうという考え方もできるわけです。

 

  • ぶどう本来には種があることが自然
  • 種のないぶどうはジベレリン処理で人工的に無くしている

 

ジベレリン処理による伸長成長の促進

ジベレリンの効果として、伸長成長の促進効果があります。

これはジベレリンを使うことによって、ぶどうの発育をよくする作用があるわけです。

そのため、ジベレリン処理したぶどうと、ジベレリン処理をしていないぶどうではぶどうの粒の張りが違います。

ぶどうの粒のはりとは、粒がどれだけ肥大するか?で、種なし巨峰と種あり巨峰を見比べてみるとよくわかると思います。

また、ぶどうの房の状態を見れば一目瞭然ですが、ジベレリン処理をした種無しぶどうと、ジベレリン処理をしていない種ありぶどうではぶどうの軸の硬さが全く違います。

そのため、種無しぶどうは房を持ってもカチカチの状態を保ちますが、種ありのぶどうの房は柔らかく、ユラユラと揺らすことができるくらいに軸が柔らかい状況で出荷されます。

 

ジベレリン処理をしたぶどうへの副作用

ジベレリン処理をすることで、ぶどうに起こる副作用として上で書いたように、ぶどうの軸の硬直化があります。

また、ぶどうの皮も硬くなり、ぶどうによっては皮が食べられなくなる場合もあります。

知人の農家さんはジベレリン処理を行うことで皮の食感が硬くなるために、ジベレリン処理をしない方もいます。

種なしのシャインマスカットなど皮が固いのはこのジベレリン処理の可能性が十分考えられます。

 

ジベレリン処理を行う農家のメリット

ジベレリン処理を行った種無しぶどうが増えた理由に、需要が増えた面もありますが、農家も技術が必要なく簡単に栽培できるようになる利点もあるため、ジベレリン処理をして種無しぶどうを作る農家が増えたとも考えられます。

例えば巨峰の場合、種あり巨峰としてジベレリン処理をしない場合には長梢剪定と呼ばれる、ぶどうの樹勢を考えながら房の数を減らしたり、剪定をしたり、誘引をしたりなど、種あり巨峰を栽培する場合には農家の技術が必要になります。

しかし、ジベレリン処理ができるようになり、短梢剪定というとても効率的にぶどう棚を使うことができるようになり、ぶどうの樹勢もそれほど考えずに棚の仕立てができるため、農家としての技術もそれほど必要がなくなりました。

このように、ジベレリン処理を行うことで効率よく、技術もそれほど必要なくぶどうを栽培することができるようになったわけです。

 

ジベレリン処理の方法

ジベレリン処理の方法は、ぶどうの品種によりジベレリン処理の適期にジベレリンを水に混ぜ、ジベレリン処理をしたぶどうとしていないぶどうが見分けやすいように食紅を入れて色をつけ、その溶液にぶどうの房を全体的に漬けるだけです。

また、ジベレリン処理を行った後、数時間経たないと効果がないため、雨の降らない午前中に行います。

ですので、天気予報を見ながら天気が崩れない日を予想してジベレリン処理の日程を決めて作業を行います。

このジベレリンにしっかり漬けないと部分的に種ありのぶどうになってしまうなどの不良品になってしまうため、農家はジベレリン処理に気をつけています。

そのため、ジベレリン溶液を補充する手間を減らすために自動でジベレリン溶液を排出、補充するマシーンも最近では販売されています。

 

 

食紅を利用する

ジベレリン液は透明なため、農家の皆さんは食紅を利用してジベレリン処理をしたものとしていないものを見分けられるように作業をします。

そのため、ジベレリン処理をした後は手が真っ赤になり、数日間指先が赤く染まっています・・・。